脱毛サロンの経営において、料金設定は売上と利益を左右する最も重要な要素のひとつです。私たち株式会社BLASTは、大阪を拠点に業務用脱毛機の修理・メンテナンスを手がけ、15,000台以上の機器を修理してきました。適切な料金設定で安定した利益を確保し、機器のメンテナンスにもしっかり投資して長期的に成功しているサロンがある一方で、価格設定を誤ったために資金繰りが悪化し閉店に追い込まれるサロンも少なくありません。この記事では、修理工場の現場視点から見た「成功するサロンの料金設定」のノウハウを、具体的な数字を交えて徹底的に解説します。
脱毛サロンの料金設定の基本原則
施術原価を把握する
- ランプ代:ランプ価格を総照射可能回数で割り、1ショットあたりのコストを算出
- ジェル代:1回の施術で使用する量から算出
- 電気代:消費電力と施術時間から計算
- 人件費按分:スタッフの時給を施術関連時間で按分
施術原価率の目安
施術原価は売上の10%~20%に収めるのが健全な経営の目安。原価率が20%を超えると利益の確保が難しくなります。
原価計算の具体例(全身脱毛1回)
| 費用項目 | 計算根拠 | 金額 |
| ランプ代 | 50,000円 / 100,000発 x 2,000発 | 1,000円 |
| ジェル代 | 100ml使用、1本(1,000ml) 5,000円 | 500円 |
| 電気代 | 1.5kW x 1.5時間 x 30円/kWh | 約70円 |
| 人件費按分 | 時給1,200円 x 2時間 | 2,400円 |
| 合計 | 約3,970円 |
全身脱毛1回25,000円の場合、原価率は約16%。ここから固定費を差し引いた残りが営業利益です。
部位別の料金相場(2026年版)
| 部位 | 1回料金 | 6回コース | 12回コース |
| 全身脱毛(顔・VIO除く) | 20,000~35,000円 | 100,000~180,000円 | 180,000~320,000円 |
| 全身脱毛(顔・VIO込み) | 25,000~45,000円 | 130,000~230,000円 | 230,000~420,000円 |
| ヒゲ(男性) | 8,000~15,000円 | 40,000~75,000円 | 70,000~130,000円 |
| VIO | 10,000~18,000円 | 50,000~90,000円 | 90,000~160,000円 |
| ワキ | 3,000~6,000円 | 15,000~30,000円 | 25,000~50,000円 |
| 腕(ヒジ上+下) | 8,000~14,000円 | 40,000~70,000円 | 70,000~120,000円 |
| 脚(ヒザ上+下) | 10,000~18,000円 | 50,000~90,000円 | 90,000~160,000円 |
| 顔全体 | 8,000~15,000円 | 40,000~75,000円 | 70,000~130,000円 |
都市部と地方で10%~30%の価格差。メンズは女性より10%~30%高い設定が一般的です。
コース料金の設計テクニック5つ
テクニック1:3段階の価格帯(松竹梅の法則)
- ライトプラン(6回):120,000円
- スタンダードプラン(10回):180,000円 ← 最も売りたいプラン
- プレミアムプラン(15回):250,000円
60%~70%のお客様が真ん中のプランを選択する傾向があります。
テクニック2:回数券の割引率設定
- 6回コース:1回あたり約10%OFF
- 12回コース:1回あたり約20%OFF
- 18回コース:1回あたり約25%OFF
テクニック3:セット割で客単価を上げる
- 全身脱毛 + VIOセット:個別合計から15%OFF
- 全身 + 顔 + VIO完全セット:個別合計から20%OFF
テクニック4:初回お試し価格
通常価格の50%~70%で設定。コース契約への転換率30%~50%を目標に。
テクニック5:コース完了後のメンテナンスプラン
通常価格の40%~50%で設定。広告費ゼロ・カウンセリング短縮で利益率が高いメニューです。
料金設定で失敗するパターン
安すぎて利益が出ない悪循環
利益が薄いため機器メンテナンスに投資できず、故障増加、施術品質低下、顧客離れ、さらに売上減の悪循環。「修理費用を捻出できない」という相談が修理工場にも寄せられます。
高すぎて集客できない
施術数が少なく機器が遊休。投資回収が遅れ、機器も経年劣化。定期的に稼働させることが機器の状態維持にもつながります。
値下げ競争に巻き込まれる
価格以外での差別化が重要。機器のメンテナンス履歴や修理データの開示で「信頼性の高い機器で施術」とアピールするのも一つの方法。
原価を把握せず適当に設定
特にランプ交換頻度やメンテナンス費用の見積もりが甘いケース。自社機器のスペックに基づいた正確な原価計算が不可欠。
機器のランニングコストから逆算する料金設定法
目標月商を設定し、想定施術数で割って必要客単価を逆算します。
| 想定月間施術数 | 必要客単価 | 判定 |
| 60件(1日3件x20日) | 20,500円 | 全身脱毛中心なら現実的 |
| 80件(1日4件x20日) | 15,375円 | 部分脱毛中心でも達成可能 |
| 100件(1日5件x20日) | 12,300円 | スタッフ2名体制なら可能 |
| 120件(1日6件x20日) | 10,250円 | 回転率重視の運営が必要 |
根拠のある数字から逆算して料金を設定するという考え方が大切です。
値上げのタイミングと方法
値上げすべきタイミング
- 予約の埋まり具合が常に80%超 → 需要が供給を上回っている
- 原価が上昇して利益率が低下している
- 新しい高性能機器を導入した
- 開業から一定期間経過しブランドが確立された
既存客への配慮
- 1~2ヶ月前に告知
- 値上げの理由を具体的に説明
- 値上げ前にコース契約できる期間を設ける
新規客のみ値上げする方法
既存客は現行料金据え置き、新規客から新料金を適用。次回更新時から段階的に移行するのがスムーズ。
まとめ
- 料金設定の第一歩は原価の正確な把握。施術原価率は売上の10%~20%が目安
- 市場相場を調査し、立地やターゲットに合った価格帯を設定
- 松竹梅の法則、回数券、セット割、初回お試し、メンテナンスプランの5つのテクニックでコース設計
- 安すぎる料金は機器メンテナンス投資不足の悪循環を招く
- ランニングコストから逆算して根拠のある客単価を設定
- 値上げは適切なタイミングと既存客への配慮を持って実施
適切な料金設定によって利益を確保し、機器のメンテナンスにも計画的に投資できる体制を整えることが、長期的に選ばれ続けるサロンの条件です。当サイト「ビューティーログ」では各機種のランニングコストや修理データも掲載しています。料金設定の参考にぜひご活用ください。